gtool4/Fortran 90
リファレンスマニュアル
gtview コマンド
2003年09月25日
森川靖大
概要
gtview
はコマンドラインで指定された変数から適切な図形表現を作成して表示します。もし変数が図形変数ならばそれ自体を表示します。変数名としてファイル名だけが指定された場合には適当な変数
(Open(GT_VARIABLE) 参照) が選ばれます。
書式
gtview [-save] [-batch] [wsn=n] [title=title]
[変数 [オプション... ]]
...
gtview [-save] [-batch] [wsn=n] [title=title] -vect
変数1 [オプション... ] 変数2 [オプション... ]
...
gtview [-save] [-batch] [wsn=n] [title=title] slice=dim=start
[変数 [オプション... ]]
...
動作
変数 が図形変数である場合にはそれがそのまま描画されます。
変数
が次元をもつ場合には次元数に応じて適当な図形表現が選択されます。
- 1次元変数からは線グラフを作成します。
- 2次元変数からは等値線図を作成します。
- ふたつの2次元変数の対からはベクトル散布図を作成します。
- 3次元以上の変数からは2次元を選んで等値線図を作成します。
さらに、残りの1つの次元についてアニメーションを作成します。
変数 が次元をもたず、図形変数でもない場合はエラーになります。
オプション
全体に対するオプションはコマンドラインのどこにでも指定できます。図形表現に対するオプションはその図形表現を作成する変数名の後にだけ指定できます。
全体に対するオプション
- wsn=n
- 表示を開始する DCL
のデバイス番号を指定します。現在のところ 1--3
が有効です。0
を指定すると問い合わせがなされます。デフォルトは1です。
wsn=n |
Windows |
UNIX |
0 |
gtview
は標準入力に可能なワークステーション番号のリストを表示し、標準入力から読み取った整数値を用いて動作する |
1 |
画面表示: ウィンドウが開く |
画面表示: X Windows System のウィンドウが開く |
2 |
印刷: 「印刷」ダイアログが表示される |
印刷: カレントディレクトリに dcl.ps
という名前の PostScript ファイルが出力される |
3 |
ファイル出力: カレントディレクトリに
dcl.ps という名前の PostScript ファイルが出力される |
画面表示: 標準出力に Tektronix 4014
用の描画命令が出力される。 |
- title=title
- 図の表題を title
にします。このオプションを省略すると、描画される図の表題がそのまま表示されます。なお、有効なのは30文字 (1バイト文字のみ) までです。
- -save
- 表示された図形の構成を図形変数として gtgraph.nc@grn
に格納します。ここで n
は1以上の整数で、既存変数と重ならないように選ばれます。
なお、線グラフの構成を保存した場合には軸変数がうまく保存されない不具合があります。また、次元の切り出しを保存できない不具合もあります。要するに不具合だらけです。
- -batch
- 図形変数が格納される点は -save と同じですが、DCL
による画面描画が抑止されます。
- -alternate、-Ga
- アニメーション時、次に表示される図を裏画面で描画するように指定します。これによって画面の移り変わりが滑らかになります。 -animateが指定されていなければ無効です。
- -nowait、-Gw
- アニメーション時、一時停止せずに自動的に改ページします。-animateが指定されていなければ無効です。
- -smooth、-Gaw
- -alternateと-nowaitを同時に指定します。-animateが指定されていなければ無効です。
例外オプション
- slice=dim=start
- dimに指定した次元についてアニメーションします。開始位置はstartで指定されます。(startの記法に関しては変数名 (コンマ記法)を参照して下さい)。ただし、変数の前にこのオプションを指定する必要があります。アニメーションにはさらに-animateが必要となります。
- -vect、-Ve
- このオプションの後ろに変数を2つ指定することでベクトル散布図が作成されます。
等値線図に対するオプション
- -shade
- 等値線図に加え塗りわけもします。
- -noshade
- 上記 -shade の効果を取り消します。
- -nocont
- 等値線図の描画を抑止します。暗黙に -shade
が指定されたものとみなされます。
- -animate
- アニメーションを作成します。特に指定されない場合は3つめの次元でアニメーションします。アニメーションする次元を指定したい場合はslice=dim=startを利用して下さい。
- -exch
- 横軸と縦軸を入れ換えます。aspect と同時指定できません。
- -map
- 世界の海岸線を描画の際に重ねます。座標は、描画した際の横軸変数の"0"の部分が経度0度(ロンドン)に、縦軸変数の0の部分が赤道に割り当てられます。なお、map=coast_world と同じ効果です。
- map=map
- 描画する図に地図を重ねて描くことができます。
描くことができる地図は以下の通りです。
なお、map=coast_world は -map と同じ効果です。
map | 地図の種類 |
coast_world | 世界の海岸線 |
border_world | 世界の国境 |
plate_world | 世界のプレート境界 |
state_usa | アメリカの州境 |
coast_japan | 日本の海岸線 |
pref_japan | 日本の県境 |
- interval=interval、int=interval
- 正の実数値 interval を指定すると等値線または塗りわけの間隔を指示します。負の数値
interval を指定すると等値線の本数は約 INT(ABS(interval))
となります。本オプションを指定しない場合、あるいはゼロを指定した場合、levels=
オプションが指定されていなければ -12.0
を指定したのと等価な自動設定を行います。なお、crange= オプションが指定された場合は等値線に関して、srange= オプションが指定された場合は塗りわけに関して無効になります。
- cint=interval
- 等値線のみに有効なinterval=intervalです。crange= オプションが指定された場合は無効になります。
- sint=interval
- 塗りわけのみに有効なinterval=intervalです。srange= オプションが指定された場合は無効になります。
- crange=min,max
- minからmaxの間のみ等値線を描画します。minはmaxよりも小さい必要があります。levels= オプションが指定された場合は無効になります。
- srange=min,max
- minからmaxの間のみ塗りわけをおこないます。minはmaxよりも小さい必要があります。
- levels=level1,level2,...
- コンマで区切った実数値のリスト list,list,...
について等値線を描画します。塗りわけは本オプションにまだ対応していません。
- icycle=label_cycle
- 等値線 label_cycle 本につき1本だけに数値ラベルをつけます。デフォルトでは
2 が仮定されます。
- skiplevels=level,level,...
- コンマで区切った実数値のリストについて等値線の描画を抑止します。
- aspect=縦横比 (実数)
- 描画される図のアスペクト比を変化させます(デフォルト値は2.0です)。現在、最大値は2.3320、最小値は 0.47250 です。(この範囲外だと描画できません)。
- proj=projection
- 様々な投影図法で描画できます。
projectionとして整数を指定します。
dcl に丸々依存している部分なので、利用可能なprojectionに関しては
DCL:GRPH1:概要:2次元正規化変換: 1.4.1 座標系の種類を、
描画される投影図形についてはDCL:らくらくDCL:地図投影や3次元図形も: 13.1 いろいろな地図投影法
を参照してください。(デフォルトは 1 です)。
- stdlat=latitude
- 描画される図の中心の緯度をlatitudeに設定します。proj=projection に 10〜 が指定された場合のみ有効です。
- stdlon=longitude
- 描画される図の中心の経度をlongitudeに設定します。proj=projection に 10〜 が指定された場合のみ有効です。
- rotate=angle
- 描画される図をangleだけ回転させます。(角度は度数表記です)。proj=projection に 10〜 が指定された場合のみ有効です。
- fill=実数、fil=実数
- ビューポート横幅を設定するためのものでしたが、現在動作しません。(たぶんこれからも動作しないでしょう)。
- shift=実数、shf=実数
- ビューポート中心と描画領域中心との差を設定するためのものですが、現在動作しません。(たぶんこれからも動作しないでしょう)。
- ceil=実数、cel=実数
- 仮想的な図形上端を設定するためのものですが、現在動作しません。(たぶんこれからも動作しないでしょう)。
線グラフに対するオプション
- index=<色|太さ|整数>
- 線の太さと色を指定する DCL
ラインインデックスという整数値を指定します。以前に color
または thickness オプションを指定した結果は無視されます。
- color=色|整数
- colour=色|整数
- 線の色を指定します。色として指定できる名前は default,
red, green, blue, yellow です。thickness
オプションの設定を破壊しません。
- thickness=太さ|整数
- linewidth=太さ|整数
- 線の太さを指定します。color オプションの設定を破壊しません。太さとして指定できる名前は
thin, medium, thick です。
- type=線種|整数
- 線種を指定します。線種は1から9までの整数値で、0
を指定すると線グラフが省略され、マーカー図になります。線種として指定できる名前は
solid, dotted, dotdashed, dashed です。
- mark=整数|文字
- 線グラフの各点に印をつける。整数ならば、その整数に対応した文字が印としてプロットされ、文字 (1バイト文字1つ) ならば、その文字が印としてプロットされる。
- range=min,max
- 縦軸の表示範囲をminからmaxに指定する。
ベクトル図に対するオプション
- -animate
- ベクトル図でのアニメーションはできません。
- -exch
- 横軸と縦軸を入れ換えます。aspect と同時指定できません。
- -map
- 世界の海岸線を描画の際に重ねます。詳しくは等値線図のオプション-mapを参照してください。
- map=map
- 描画する図に地図を重ねて描くことができます。
詳しくは等値線図のオプションmap= を参照してください。
- skip=整数、sk=整数
- 各ベクトル間の間隔を設定します。
- hskip=整数、hs=整数
- 各ベクトル間の横間隔を設定します。
- vskip=整数、vs=整数
- 各ベクトル間の縦間隔を設定します。
- aspect=縦横比 (実数)
- 描画される図のアスペクト比を変化させます(デフォルト値は2.0です)。現在、最大値は2.3320、最小値は 0.47250 です。(この範囲外だと描画できません)。
- proj=projection
- 様々な投影図法で描画できます。
projectionとして整数を指定します。
詳しくは等値線図のオプションproj=projection を参照してください。
なお、projection に 30 を指定した場合、裏面のベクトルまで表示してしまうという不具合があります。
- stdlat=latitude
- 描画される図の中心の緯度をlatitudeに設定します。proj=projection に 10〜 が指定された場合のみ有効です。
- stdlon=longitude
- 描画される図の中心の経度をlongitudeに設定します。proj=projection に 10〜 が指定された場合のみ有効です。
- rotate=angle
- 描画される図をangleだけ回転させます。(角度は度数表記です)。proj=projection に 10〜 が指定された場合のみ有効です。