放射MTGメモ(2015/12/28)

参加者

  • 倉本圭, 石渡雅樹, 高橋康人, 齊藤大晶, 大西将徳

系外惑星放射計算プログラムの開発 (大西)

  • ハビタブルゾーンの内側境界に関する先行研究のレビューを行った.
    • 先行研究のレビュー
      • Kasting+2015
        • 1D 放射対流平衡モデルで成層圏温度を推定.
        • Leconte+2013 の結果をサポートする.
        • 成層圏の温度が下がる理由は, 成層圏で光学的に厚い部分が宇宙とやり取りして温度が決まるため.
      • Leconte+2013
        • 3D モデルにて成層圏の温度を推定.
        • 地表面温度 290〜310K で成層圏は 140K 程度. 地表面温度330K では120K 程度まで下がる.
        • 太陽定数 (375Wm-2) で暴走 (現在の太陽定数の +10%).
        • 暴走温室限界 at 0.95AU. 水損失限界は迎えない.
        • 成層圏温度が灰色大気よりも下がるのは非灰色の効果.
        • 雲はアルベドを高くする効果よりも, 温室効果のほうが大. 結果として雲は気候を不安定化する.
        • 大気の流れ(力学)により, 未飽和な領域ができることで, 惑星放射が増加し, 気候が安定化する.
        • 水損失限界を迎える前に, 暴走温室限界に達する理由について力学の効果により水蒸気量が小さくなることを主張
          • 我々のモデルは圏界面飽和でも水損失限界を迎えないことを示唆.
      • Wolf & Toon, 2015
        • 3D モデルにて成層圏温度を推定.
        • 水損失限界は太陽定数が 19% 増加したとき (地表面温度 350.5K, 0.92AU). 太陽定数が 21% 増加すると (地表面温度 362.8K) 暴走状態.
        • モデルの大気上端は, 20Pa
          • 地表面温度が高い場合, 成層圏温度の議論にはさらに高高度まで計算が必要.
    • k分布法のサブグリッドの数と加熱率の計算精度の考察
      • 前回のミーティング時に報告した k 分布法のサブグリッドの数と加熱率の考察について再び議論した.
      • 論文のイントロでは, もっとシンプルな議論をすべき
        • 現在使われている k 分布の区切り方は, 地球計算を元にしている.
        • 地球の圏界面は 1e+4 Pa 程度.
        • 今考えている系では, 圏界面が 1 Pa 付近まで上昇することがありえる.
        • 圏界面が上空に位置した場合, 吸収線が細くなることを考慮すると, 現在使われている k 分布の吸収係数で正しく計算できている保証ない.
        • line-by-line できちんと計算してみた.
      • サブグリッドの数との評価は, Discussion で軽く触れるのがよい.
  • 系外惑星大研究会
    • タイトル
      • Two humidity regimes of stratosphere on moist atmosphere
      • 上記をベースに.
    • 内容
      • 1D line-by-line 計算による圏界面温度の推定と, ハビタブルゾーンの内側境界の議論について
      • イントロは, 「ハビタブルゾーンの内側境界は water loss limit で決まっているといわれているが, その物理ははっきりしない」ということから始めるのがよいのでは.
  • mtg 資料

木星大気の放射計算 (高橋康)

  • Letter 執筆
    • モデルの妥当性
      • 高解像度での圏界面高度の推定
        • 高解像度 (0.01cm-1 刻み) 計算を行うと, 0.38bar, 0.39bar の間で圏界面の正負が変化する.
          • この間に圏界面があるといってよいか.
          • 成層圏の温度を推定する際, 低解像度で平衡になった温度構造の平行移動ではよくないのでは?
          • 上空では, 低解像度での平衡と同じにすべき.
          • 圏界面より上空でも平衡からずれているのが気になる.
      • 先行研究とのモデル比較
        • モデルの信頼性を示したいがどうしたらよいか.
          • 先行研究とあっているかどうかではなく, 振る舞いが物理的にリーズナブルかどうかを示すべき.
          • 先行研究で扱っている要素すべてを, 現在のモデルが扱っているわけではない. それでも妥当だということを示す.
    • イントロ
      • 大気力学や熱史において対流圏の放射場重要
      • 雲対流の効果や放射場と大気構造の相互作用についてよくわかっていない
      • 数値モデルを用いて, 対流圏の放射場の解析を行う
    • 議論, 結論
      • NH3 が重要, 雲は重要でない.
      • 最後は, モデルは実際の木星をよく表現しているという話題で締めくくってはどうか.
      • イントロで述べようとしていることを議論に持ってきてもよい.

次回の日程

  • 1/4 (月) 9:00-