放射MTGメモ(2012/08/27)
参加者
- 倉本圭、はしもとじょーじ、三上峻、大西将徳
Nakajima et al. 1992の再現(大西)
- 成層圏の放射平衡の計算にてオーバーシュートを起こさないプログラムの検討
- オーバーシュートしている温度の振る舞い
- 圏界面のひとつ上のグリッドの温度が圏界面の温度を越えて増加していく傾向がみられる
- 圏界面の上のグリッドは温度が増加し続けるグリッドと減少し続けるグリッドが交互に現れている
- タイムステップの偶数、奇数で増加・減少を繰り返すということはない
- 放射平衡計算を始める初期値として、成層圏の水蒸気量を対流圏界面の水蒸気混合比で飽和しているとした温度を与えていた
- 湿潤断熱減率を仮定した温度からスタートせず、圏界面の水蒸気混合比まで水蒸気と温度を上げてから計算していたことが問題だった可能性あり
- 解決の糸口を探すため以下の2点を考慮して計算を試みた
- 1. 放射平衡計算の初期値を湿潤断熱減率で計算された温度からスタート
- 2. 対流圏界面付近のグリッドを細かく切って計算(高橋さんの計算はグリッドを細かく切っていることを参考に)
- 計算した4つのパターン
- 計算条件
- 地表面温度:300[K]
- 水蒸気吸収係数:0.01[m2kg-1]、空気吸収係数:0[m2kg-1]
- 水蒸気:温度が上昇するたびに、 「飽和水蒸気量」or「圏界面の混合比」 の小さい方まで水蒸気量は引き上げる
- タイムステップ:10^6[s]
- 収束判定:FluxConvergence < 10^-4[W/m2]
- 計算1. 放射平衡計算の初期値:対流圏界面の混合比で飽和した温度した温度、グリッド:100、圏界面:固定
- 計算2. 放射平衡計算の初期値:湿潤断熱減率を仮定した温度、グリッド:100、圏界面:固定
- 計算3. 放射平衡計算の初期値:湿潤断熱減率を仮定した温度、グリッド:120(圏界面付近を細かく計算)、圏界面:固定
- 計算4. 放射平衡計算の初期値:湿潤断熱減率を仮定した温度、グリッド:120(圏界面付近を細かく計算)、圏界面:移動
- 計算4では、温度を変化させるごとに、FluxConvergenceの正負から圏界面の位置を変化させて計算する
- 計算条件
- 計算結果
- 計算4が最も早く収束
- 収束までのループの回数::計算2: 33507, 計算3: 195576, 計算4: 20378
- 対流圏界面付近のオーバーシュートはどの計算にもみられる
- オーバーシュートの温度幅は計算4で最も小さい
- 計算4が最も早く収束
- 議論
- FluxConvergenceは層ごとに計算されるが、温度をグリッドごとに与えているのが良くないのではないか
- FluxConvergenceは層に対して決まっているので、その層の温度を上昇させるのが自然
- 今のプログラムはFluxConvergenceの値に対して大気の量(熱容量)を考えて、その層の温度上昇を計算しているが、グリッドの温度を上昇させる際に単純に上下の層の温度上昇分の平均を与えている。これではエネルギーが保存していない可能性がある
- FluxConvergenceは層ごとに計算されるが、温度をグリッドごとに与えているのが良くないのではないか
- オーバーシュートしている温度の振る舞い
- To Do
- 温度上昇をグリッド上ではなく、層で計算するプログラムを考える
次回の日程
- 9/3(月) 9:00-